男性のHPVワクチン接種について ~豊田市での助成制度のご案内~
- 2025年12月9日
- 感染症
はじめに
「HPV(ヒトパピローマウイルス)」という言葉を耳にしたことはありますか?
子宮頸がんの原因として広く知られているウイルスですが、実は女性だけでなく、男性にとっても無関係ではありません。
HPVは性交渉の経験があれば誰でも感染する可能性があるごく身近なウイルスです。多くの場合は自然に排除されますが一部は体の中に残り、がんや尖圭コンジローマ(せんけいこんじろーま)などの原因になります。
これまでHPVワクチンは主に女性への接種がすすめられてきました。ですが、最近では男性への接種も注目されており、豊田市でも助成が行われています。今回は男性のHPVワクチン接種の意義や豊田市で受けられる助成制度についてご案内します。
男性が接種をする意義
「HPVワクチンは女性のためのもの」というイメージを持たれる方も多いですが、実際には男性にとっても次のようなメリットがあります。
- 自分の健康を守る
がんや尖圭コンジローマのリスクを下げ、将来的な生活の質の低下を防ぎます。 - 大切なパートナーを守る
HPVは性交渉で相手にうつるウイルスです。男性がワクチンを接種することで、女性に感染させるリスクを下げることができます。 - 社会全体の感染拡大防止につながる
接種者が増えることで、HPVの感染連鎖を抑えることができます。これは公衆衛生上も大きな意味があります。
HPVが男性に与える影響
HPVに感染すると男性でも以下のような健康被害を引き起こす可能性があります。
- 中咽頭がん:のどの奥に生じるがんでHPVが原因となることが分かっています。近年増加傾向にあります。
- 肛門がん:女性だけでなく男性にも起こる病気でHPVの関与が指摘されています。
- 陰茎がん:発症頻度は少ない病気ですがHPV感染が関係しています。
- 尖圭コンジローマ:いぼのような病変が外陰部や肛門にでき、治療を繰り返すケースもあります。
こうした病気をできるだけ予防するために、男性へのHPVワクチン接種がすすめられています。
豊田市における男性のHPVワクチン助成制度
豊田市では接種時点で豊田市に住民登録がある一定の条件を満たす男性に対してHPVワクチン接種の助成が行われています。
対象者
小学6年生~高校1年生の年齢に相当する男性
対象ワクチン
4価ワクチン
支払費用
費用はいったんクリニックでお支払いいただき、保護者の方が領収書を市役所に持参して請求する(償還払い)形式となります。実質、個人負担はありません(全額助成金)。
接種可能回数
最大3回
予防接種の進め方
-
対象医療機関へ予約(当院で接種できます。こちらから予約してください)
- 当院で「豊田市任意予防接種費用助成事業申請書」に必要事項を記載する。
- 予防接種を受ける。
※6か月間の間で最大3回接種する必要があります。 - 費用はいったんクリニックでお支払いいただき、保護者の方が領収書を市役所に持参して請求する(償還払い)形式となります。実質、個人負担はありません(全額助成金)。
将来の健康を考えれば大切な自己投資と言えますが、助成の対象となる年齢のうちに接種を検討することが非常に重要です。
副反応について
HPVワクチンは基本的に安全性が高いとされていますが、副反応が出ることがあります。
- 接種した部分の痛みや腫れ
- 発熱・倦怠感
- ごくまれに重いアレルギー反応
ほとんどの場合は数日で回復しますが、体調に異変を感じた場合は医療機関にご相談ください。
小学6年生から高校1年生の息子さんをお持ちの保護者の皆さまへ
豊田市では、対象年齢の方であればHPVワクチンを無料(自己負担なし)で接種することができます。HPVワクチンは、将来の健康を守るための大切なワクチンです。息子さんご自身の病気の予防になるだけでなく、将来の大切なパートナーを守ることにもつながります。
HPVワクチンは「女性のためのもの」と思われがちですが、実は男性にとっても関わりのある感染症の予防につながります。
息子さんがちょうど対象年齢の際は、助成制度を利用して接種の予約を取りましょう。


